10年以上前のお礼を、今宵。
「嫌なことを思い出した。」
テンションが低い時の、私の口癖だ。
何となく口をついて出るだけじゃなく、実際に嫌なことを思い出してもいる。
大抵は、自分の我が儘で、誰かにどうしようもなく嫌らしい嘘を言ったこととか、そういう話だ。
そういう時、胸の辺りが、むりゅんっ とする。
心臓が、やーん、と言う。
まぁ、大きく深呼吸して、すぐ隣にいる人間にちょっかい出せば、7割方収まるのだが。
思えば、ずいぶん前から、その役目を担う人間は、決まってしまっている。
しょうがない。
すぐ隣にいるのが、君なんだから。
最初の頃は、対処の仕方が分かんなかったみたいで、そのせいでケンカになったりもした。
が、ある夜。
寒かったせいか、また むりゅんっ っとなったので。
「嫌なこと思い出した。」
と、私はつぶやいた。
すると君は、 「ふむ」 と少し考えたあとで、こう言ってくれました。
「 に く ま ん 。」
なんで? と聞く私に、 美味しい物を思い浮かべれば忘れるかなーと思って、と。
いやぁ。
なんかほんとに、色々全部、どっか行っちゃいましたよ、あれは。
ありがとう。
覚えてないだろうけど。
メリークリスマス。