出す。
なんだか急激に腹具合が悪……い、いやそんなまさか気のせいだろう、きっとそうだろう、うっく…!
小さな釘抜き地蔵で下痢警報が発令しました!
大変危険!
と、とりあえず、出せば何とかなるやもしれないっ、って感じの腹具合ネ。
仕方ない、ここで一発、戦いを…。
ということで、私はトイレに入りました。
狭いトイレなので、しゃがむとき頭がドアにぶつかりましたよ、チキショゥ。
まぁ、そのまま姿が見えるって訳ではないのですが。
「今、力んでる…」
なんてことは、全てお見通しなドアなのです。
でも、そんなことは、どうでもよかった。
というのも、ドアの向こうは、男性尿用便器なのですね。
まぁ、ちょいと昔の型ですわな、よくありますわな、古い公衆トイレで。
その重要な、男女を隔てる唯一の境界線が、お見通し曇りガラスドア。
ですので。
もし、♂の誰ぞが尿をしに来た場合。
こっちの動きがお見通しなら、向こうの動きも、全部まるっとお見通しなわけですよ。
下痢で苦しんどる最中、見ず知らずの男の尿の模様など知りたくもないのに。
それどころじゃないのに。
どうか、誰も来ないで。
……釘抜き地蔵様は、その願いを聞き入れてくれませんでした。
無情にも、向こうから砂利を踏みしめる音。
どうにもこうにもオス♂な感じを醸し出しながら、音は近づいてきて。
そして。
無言でうなる私に気付いているのかいないのか、躊躇なく尿便器の前で仁王立ちになる、
どっかのオッサン。
中肉中背。
着ている服は、上下紺系。
あ~あ。
……。
……。
……んまだかいっ!
まだ出んのかいっ!
……チ
ん?
………チヨロチyo
チヨロチヨロチヨ……チょ…
……まぁ、寒いですもんね……いろんなもんが縮こまるってもんですよね……。
が、この私が、せっかく連帯感を持ってやったというのに。
よう分からんが、いろいろ大変に不本意じゃいっ、おのれぇっ。
ばばを出しながら一瞬イラッとしましたが。
しかしオッサンの尿量の少なさが心配でもある、それがトイレの縁。
あんなので大丈夫かしら、オッサン。
まぁ、一応の満足感は得られたのでしょうね、よかったね。
とりあえずのピークは脱したようなのですが、私もスッキリとは程遠い状態でした。
結構な距離を、自転車で。
なんで私は自転車で来たんだろう…って思うのは、こういう時ですよ、えぇえぇ。
やっぱ、トイレは我が家に限る。