姉の正体 続き
続き。
ある日、姉と二人で話をしているときに、なんだかキノコの話になった。
私が、最近キノコの種類が増えたなーと言うと、姉が少し挑戦的に、ならば名前を言ってみろという。
「しいたけ、しめじ、えのき、なめたけ、やまぶしたけ、なんかなめたけの長い奴…。」
と列挙していたところ、姉が。
「タケノコもだよね。」
……は?
そう思う理由を聞いてみてもよかったのだが、聞き間違いかと思うほどの発言だったので、とにかく直ぐさま否定した。
だって、タケノコはキノコじゃないから。
だがしかし、姉は引き下がらなかった。
「だって、タケノコだって地下茎とかで殖えてるじゃん。種とかじゃないじゃん、キノコと同じで…。」
……。
押し通すつもりか…! この期に及んで…!!
「いいえ。キノコは菌です。胞子で殖えます。絶対値で違います。」
「…じゃあいいよ。他に何がある?」
「木耳とか?」
「えぇぇぇ、木耳ってキノコじゃないじゃん、何言ってんの~?」
「キノコです。っていうか、ええかげん諦めろ!!!あんたの負け!!!」
なぜ。
なぜ、そこまでして私に勝とうとするのか…。
彼女は負けず嫌いである。
その性格が災いして、5つ年下の妹と毎日ケンカをしていたといっても過言ではなかろう。
負けず嫌いは重々承知していたのだが、天然だということには、この歳になるまで全く気がつかなかった。
それがわかっていれば避けられたケンカも、山ほどあったろうに…。
すぐそばで長いこと一緒に暮らしていても、相手のことをわかっていると思ったら大間違いらしい。
これからは、滅多なことではケンカにならないと思う。
天然とケンカするなんて、そんな無茶で無駄なこと、私はしない。
ということで、私の姉は天然なのだが、彼女の名誉のために付け加えておく。
彼女の行動力と努力は、人一倍だ。
私には、そういうのが微塵もないので、羨ましくて仕方がない。
しかし姉は姉で、手を抜いてる割に何となくうまいことやる私が、羨ましかったりするのだろうか。
兄弟というのは、そういうものなのだろう。
姉曰く「昔のケンカに関しては、私が大人気なかった。」そうな。
そうか。
ならば、そういうことにしておこう。
まあ、私のヨーロッパ旅行の拠点として今しばらく向こうでがんばってもらわないと。
しょうがない。
うどんでも送るか。