オオイヌノフグリのふぐりって、きん。
「オオイヌノフグリ」
植物です。
花が咲きます。
可愛らしい、青い花です。
大抵の方は目にしたことがあると思われる、ぺんぺん草に匹敵するくらい身近な花です。
私は、小さい頃から、この名も知らぬ可愛らしい花が好きでした。
今から20年ほど前でしょうか、この花が「オオイヌノフグリ」という名であることを、友人に教えてもらいました。
その友人Nは、「エー、こんなんも知らんのん。」(えー、こんなのも知らないのですか。)と、目だけで言いながら教えてくれました。
そして時は経ち、旦那と知り合って、この花はオオイヌノフグリというんだよ、と彼に教えてあげたのです。
すると旦那が、複雑な顔をして、こうつぶやきました。
「フグリ…?」
「そう。オオイヌノフグリ。大きくないのにね。なんで『大』が付くんやろうね。」
「いや、そこじゃなくて…。え、フグリの意味知らん?」
「えー、なんなん?」
「…きんたまやで。」
…私は、小さい頃から、この名も知らぬ可愛らしい花が好きでした。
その。その、私が小さい頃から好きだった、名も知らぬ可愛らしい花の名前が。
「おおきないぬのきんたま」
だったとは。
その時、私の大事な灰色の脳みそに、ぱしっと亀裂が入ったような気がしました。
なぜ。
なぜに、きんたまなのか。
それについては、もう随分長い間謎でした、というか突きつめたくもなかったしっ。 ぷいっ。
ところが最近、教育テレビのミクロの世界的な番組をたまたま見ていたら、オオイヌノフグリ特集をやってまして。 (さっすがNHK)
「オオイヌノフグリ」の一生を追っていたんです。
おかげ様で謎が解けました。
「オオイヌノフグリ」様は、種になるときに、きんたまになるんですね、これが。
それがまた、ものの見事にきんたまで。
「いやあ、これはフグリだねぇ、君ィ。」
「ええ、これはフグリですねぇ。」
ってくらい、見事に、見事に、それそのもので。
こんなの。
目が覚めましたね。
なにかこう、大人になった気がしました。
なんだか、この見てくれが、ポップな感じにすら思えてきました。
ああ、もしかしたら、そうなのかも。
しかし、その番組。
オオイヌノフグリ特集だったにもかかわらず、その名前の由来には一切触れることなく終わっていったのです。
思わぬところで、NHKの限界を見てしまいました。
その一歩引いた姿勢。
一連の不祥事に、私は付け加えたい。
きばらんかい。