おこた、徒然。
こたつ完成。
何年ぶりだろうか。
ちゃんとしたこたつは実家を出て以来なので、ええと…。
33-18で、 えっ。
……思っていた以上に久しぶりだ。
「ちゃんとしたこたつ」 というのは、ここでは 「こたつ布団によって構成された隙間のない、こたつ」 のことを指すと思っていただきたい。
というのも、学生時代、こたつ布団をいちいち用意もしてられなかったので、普通の布団で代用していたのだ。
布団であるから、当然こたつになるには面積が足りない。
絶対値で足りない。
試しに、掛け布団と敷き布団を交差してやってみたりもしたが、あまりにモコモコになって机の天板が定まらないという、あまりに情けない状態になったのでやめた。
なので、掛け布団のみのこたつは、側面がスカスカであった。
それでもやっぱり暖かかった。
そういえば、受験生だった冬。
私は、こたつに住んでいた。
一ヶ月くらいだったか。
一ヶ月くらいだったか。
それも、われながらシステマティックに完成された、パーフェクトな こたつライフ であった。
まず、敷き布団をこたつの下に引き、その上にこたつを乗せる。
そして、こたつの上で受験勉強に勤しむわけだ。
眠くなったら、その場で寝ころべばよい。
目が覚めたら、むっくりと起きあがって学習を続行。
目が覚めたら、むっくりと起きあがって学習を続行。
下が敷き布団で分厚いので、尻が痛くなることもなかった。
こたつだけでは寒いので、我が家の一番小さなオレンジ色のストーブを部屋に持ち込み、その上にやかんを乗せ、お湯も常備。
インスタントのコーヒーを一瓶かっさらって、飲み物のために一々一階に下りずにすむようにもした。
完璧。
ただ、やかんの水が無くなったとき補充しに下に降りるのが、実にめんどくさかったのを覚えている。
懐かしい思い出だ。
今思うと、あの「こたつライフ」があってこその、合格だった気すらする。
家族でこたつを使っていた部屋は、ストーブがなかった。
5人家族なので、たとえ私と姉がケンカをしている時でも、それなりの熱気があり、部屋を暖める必要がなかったのだ。
が、その分、部屋の外の寒さは尋常ではない。
誰かがトイレに行くとなると、必ず誰かが言ったものだ。
「私の分も出してきて。」
もちろん、そんな望みが叶うわけもなく。
そんな時、必ず出てくる、部屋のふすまをちゃんと閉めない輩。
ぬくぬくとした部屋に、一陣のすきま風が通り過ぎる。
「ひぃぃぃぃぃ。 寒いっ! だれかね、 しりぬけ は!!」
私の出身地では、扉をちゃんと閉めない人間のことを 「しりぬけ」 と呼ぶのだ。
部屋の温度差に汲々としている背中に、容赦なく 「しりぬけ!」 と浴びせられる罵声。
レベルとして、そして名前からしても、扱いはもはや妖怪並みである。
そのしりぬけが方言であることを知ったのは、いつのことだったか。
今現在の、我が家のこたつ。
まだスイッチを入れていない。
出したばかりの布団だのカバーだのの臭いで、部屋はクリーニング屋のようになってしまっている。
まあ、そのうち馴染むのだろうが。
…馴染む。
こたつをめくると、誰かの靴下の臭いが充満してる状態のことか。
……むぅ。