質問です。
聞いてもいいですか。
あなたは、自分にびっくりしたことはありますか。
それも、自分のバカにびっくりしたことはありますか。
それも、自分のバカにびっくりしたことはありますか。
私はあります。
それも、つい最近。
この光明寺、京都の西の端にありまして、うちからは電車とバスを使って行かなければなりません。
日の差す時間が日に日に短くなっている今日この頃。
私は一刻も早く行きたかったので、駅までタクシーを使うことにしました。
が、ここで思いました。
あ、お金あったっけね?
私はお財布を覗きました。
すると千円札が一枚、あるではありませんか。
おお、らっきー。
私は、その一枚の千円札で全てが解決したと思い、タクシーに乗り込みました。
駅まで590円。
いつもより50円も安いです、これまたらっきー。
わたしは、いそいそと電車の切符を買い電車に乗り込みました、切符代180円。
最寄りの駅まで着いた私は、バス停を探しました。
あぁ、駅前のバス停っていっても、駅前にあるわけじゃないのねぇ…という駅です。
小旅行で失敗しがちなパターンです。
でも、なんとか無事に目的地へのバス停も見つかりました、これまたらっきー。
しかし、時刻表を見てみると、バスが来るまで30分近くあります。
光明寺までは2キロ。
……歩くか。
天気も良かったので、歩くことにしました。
てくてく歩いている間に、乗るはずだったバスに抜かれる、ということもなく光明寺にたどり着きました、が。
いやぁ、疲れました。
疲れましたので、とにかく飲み物をと思い、アミノサプリ的な飲み物を飲みました、150円。
ぐびぐびとアミノをサプリし、カメラの紐を首にかけ、暑かったので上着を腰に巻き…。
さあ、完璧。
さあ、撮影よ、今日はちゃんとカメラの予備電池も持ってきてありますとも!
と、鼻息も荒く入り口へ向かったところ。
私の両目に飛び込んできたのは、美しい紅葉と。
拝観料5百円、の文字。
げ。
あぁ、500円、500円、微妙…!
あわてて自分の財布を覗いてみたところ、所持金……470円……惜しい…!
飲みもんさえ…飲みもんさえ我慢してりゃ…!
つーか、470円って、果てしなく500円に近いのに、絶対的に500円ではないのね。
何度数えようが、逆立ちして数えようが、尻で数えようが、470円は500円にはならない……!
世の中って、厳しい…。
まぁ、そんなことを言ってる場合じゃありません、なんとかしなくては。
ここは、京都の西の端。
西山という山の麓です。
ここまで歩いてきた私は知っています。
ATMなどというものが、すぐ近くにはないことを。
カーッ。
私は、タクシーに飛び乗り、こう言いました。
「すいません、銀行に行って、また戻ってきてもらえますか?」
タクの運ちゃんは、こう言いました。
「はぁ?」
無理もない。
「ちょっとお金が無くって、銀行でおろしたいんですわ…。どっかないですかねぇ?」
「あぁ……銀行ねぇ…。」
「ないですよね、この辺…。」
「ないねぇ…。」
うーんと考えながら、タクシー発車。
「信用金庫でもいいですか?」
「おろせるなら、どこでも!」
私の気迫に押されたのか、私の申し出が余りにも情けないものだったからなのか、タクシーの運転手さんは我が事のようにいろいろと考えてくださいました。
途中でコンビニがあったので、一か八か行ってみましたところ。
あるはずのハイテク機能満載のマシンが見あたりません。
お店の人に聞いてみたら、「あぁお金はおろせないんですよ」。
チッ。
田中角栄の日本列島改造計画、京都の端っこまでは行き届いてないのかよ、
ちょっと角栄!何やってんのさ!
タクの運ちゃんにダメだったとしおしおと伝え、運ちゃん一押しの信用金庫に向かいました…。
勢い余って万単位でお金をおろしました…。
「で、光明寺に戻ればいいんですよね?」
「はい、お願いします…。」
無駄に冷や汗とハズカシ汗をかきかき、タクシー代1200円…。
まぁ、金額のカウントは、もう必要ないんですがね…。
もし、あと30円あったら、帰りは歩けば良かったわけだし、なんとかなったんですがねぇ。
30円。
あぁ、30円。
でもまぁ、あれなんですよ。
お寺の中で「もみじまつり」やってて、なんやいろいろ買い物できたしぃ。
美味しいコーヒー飲んだしぃ、豆も買ったしぃ、負け惜しみじゃないしぃ…!
まぁとにかくね。
秋を彩る美しい紅葉を眺めながら、しみじみと思いました……。
現金って、大事。
ほんとうに。
現金って書いて、現ナマと読むよ、今、ここではね!
きぃっ!