けいよい日記

キングオブ暇な私の、心の琴線

早春の華

 

あれは、冬のことだったと思うんですがねぇ。

 

私は高校の時、弓道部……だったんですって話は、つい先日いたしましたが。
そして、試合の厳しさもお話しさせて頂きましたが。

 

ふ~む、そうですねぇ、先に中学校の時の話をさせてもらいましょうか。

 

これは、がっぷりよっつで冬の出来事でした。
それも、三学期。

 

三学期というと、マラソンシーズンでございます。
……山口だけじゃないですよね…!? うちの学校だけじゃないですよね???

 

まぁ、全国的に三学期がマラソンシーズンだとして。
やたら学校対抗駅伝とかも行われますよね? 行われますよね?
 
校内の選抜チームが、学校の名前を背負って走ってましたよ、うちの学校も。
もちろん、私は入ってませんよ。なんて、冗談じゃないわっ。
 
 

 

その選抜チームのコーチは、うちのクラスの担任だったんですけどねぇ。
 
とても走るのが好きな先生でした。
走りながら「俺の背中を見ろ、そして何かを感じろ。」なんて事を言う人でした。
私は彼のおかげで「人を適当にあしらう方法」を覚えることが出来ました、ありがとうございまーす。
 

 

 

駅伝ってやつも、戦犯がハッキリ見えてしまいがちな競技ですよね。
 
で、その年の駅伝大会、うちの学校は2位だったのですが。
選手達にとっては、それは負けに等しかったようで。
 
ブレーキになってしまった選手である、同級生の女の子は、泣いてました。
 
ずっとうずくまって、ずっと泣いてました。

 

 

人前で。
 
 
 
そして、その女の子に群がる、女子。
 
 
「○○ちゃんのせいじゃないけ~。」
「泣かんことよ~。」
 
 
飴に群がる蟻ごとき状態でまぁ…小一時間は経ちましたっけね。
その様子を私は少し高いところから見ていたのですが、いやぁイライラしましてねぇ。
 
私は当時、本当に嫌な奴で、というか自分の嫌な部分の隠し方を知らなかったのでね。

 

泣いてるその子と、それを取り巻く一団を見下ろしながら、こう言いました。
 
「ここで泣くくらいなら、次がんばれば?」
 
はぁぁぁぁ、嫌な奴です、本当に嫌な奴です。
嫌な奴だったことは認めます。
そして、もっと本当のことをここでカミングアウトするので、どうか許して下さい。


ホントは、その子が私より目立ってたのが気に入らなかっただけです。 ふっ。







 

でもまぁ、思ったこともホントなんですよ。
 
ここでわざわざ泣くのが、何になるんだろう?
でもまぁ、私が捻くれているだけなのかね?

 

そんな感じで、どこか引っかかりを覚えながら中学を卒業し……
高校の弓道部に話は戻ります。
 
これも、弓道の試合でうちの高校が負けてしまったときの話です。

 

その時私は一年生で、試合の主要メンバーは当然、先輩達。

 

結果として、その日1本も当てることが出来なかったA先輩(女子)が、まぁブレーキになってしまったと言えなくもない、そんな試合でした。
 
ブレーキになったからって、誰も何も言いませんよ、もちろん。
そんなバカはいません。
でもだからこそ、責任を感じるんですよねぇ、そういうときは。
 
きっとA先輩もそうだったんでしょう。
 
彼女は、試合が終わって全員が引き払った後も、黙々と練習をされてました。
 
 
1人で。
ずーっと。
 
 
その姿をたまたま見かけた私は、あぁやっぱ、そうだよな…って思ったのです。

 

やっぱり、あそこで泣いても、しょうがないんだよなぁ。
やることがあるとすれば、こっちだよなぁ。

 

って。

 

 

あの光景は、今でも目に焼き付いてます。
素晴らしく格好良かった。

 

努力に言葉は必要ない。
涙は流しても、ひとりの時に。

 

がんばれ。 劇団ひとり

 

 

なんとなく、冬の、ちょうど今頃咲く花を見ると、あの時の先輩の姿を思い出すのです。
夕日を背に、口を一文字に結び今にも泣きそうな顔をしながら、ひとり弓を引く先輩の姿を。

 

 
この花は、臘梅。

 

とても気持ちのいい香りのする、早春の花です。
ご利用まことにありがとうございます。