茜桜と海苔と烏賊。
私は今年、36になる。
まだデスヨ?
まだだけど。
家を出て一人暮らしを始めたのが、18歳。
なので。
親元を離れてから、今年で18年目ってことになる。
親と一緒に暮らしたのと、同じだけの年月が経ったのだ。
そんなこんなで今年は、ある意味節目と思っていた年。
なんとなくだけど。
一人暮らしを始めた私に、なんやかやと送ってくる母。
その中には必ず、味付け海苔とイカの姿揚げが入っていた。
なぜなら、私が好きだから。
いや、私の好物だと、なぜだか彼女が思っているから。
と言った方が正解に近い。
いや、確かに好きなんだけど。
好きなんだけどもー。
もう、これがあったら何もいらないっ♡ とか。
あぁ、これこれ!やっぱりこれがないとねっ♡ とか。
いうほどではないのよ、実は。
ないんだけど。
ないんだけど、必ず入っていた、味付け海苔とイカの姿揚げ。
海苔に至っては、未だにやってくる。
節目の年とはいえ。
彼女の中では、私は、鼻水垂らして、びぃびぃ泣いてた頃のまんまなんだろね。
お客が来ても、「こんにちは、は?」って促されるまで挨拶しない子供のまんま。
まぁ、それでいいんだろう。
もしかしたら、今でもその頃と大差ないかもしれないし。 ハハハ…
18年前。
京都での引っ越しを手伝ってくれた母を見送ったとき、確かまだ、桜は咲いていなかった。
そういえば、お母さんは京都の桜を見たことあるんだっけ。
しょうがねぇなぁ、来年呼ぶかぁ。
あぁでもその前に、お父さんも機会つくらないとね。
あなた達、絶対二人一緒には来ないもんね。
京太郎もいるし。
ああ。
今年も、桜が散っていく。