もんすた
「東京って、知ってますか。」
最近よく見かける社団法人漫才協会理事、ナイツのネタで始まった、その番組。
NHKスペシャル沸騰都市
http://www.nhk.or.jp/special/onair/090216.html
このシリーズは、本当に面白い。
内容の面白さに、えらいことブラウン管(死語?)に集中して見終わると、ナレーションが宮迫だったりするから、なお面白い。
言い声してるんだねぇ、あの人は。
沸騰しているだけあって、それぞれの都市が持つエネルギーが、ビリビリと伝わってくる。
決して煽っているわけでなく、それそのものが本当に「沸騰」しているのだろうな、と思わせる迫力が、ある。
そしてそのエネルギーに視点を定めると、自ずと経済の話が中心になるあたりが、ホント嫌~。
今回の内容は、ほかでもない、東京。
我らが首都、東京。
膨張する都市、tokyoモンスター。
その冒頭で、ナイツの漫才が使われていたのだ。
「とんでもない巨大な都市を見つけたんですよ。」
「みなさん、東京って知ってますか。」
例によって「ヤホー」で見つけたと、ケラケラと笑っていたナイツのネタなのだが。
いつもと同じネタなのに、何故か実におどろおどろしく聞こえた。
実はあのハナワの弟・塙、何かイケナイものを牛耳ってる恐ろしいやつなのではないかと
錯覚してしまうほどだ。
ほら。
あの白目が多いのか少ないのかハッキリしない眼孔が、いかにも何かっぽいではないか。
怪しい。
私が住んでいた当時から、東京の再開発の波は凄まじかったように思う。
そして東京を引き払い、まだ3年と経っていないにもかかわらず、私の知っているそれとは既に全く違うものになっている。
行くたび、顔をかえる東京。
化粧をしているのか。
整形をしているのか。
それとも、別人がその名を名乗っているのか。
いかんとも判断付きかねる。
が、誰が化粧しているかといえば、そのうちの一人は間違いなく、この人であろうと思われる。
森ビル社長、森稔氏。
この人が、自分の建てたビルの上から東京を眺め、言うのである。
「あそこ、もっとこうしなきゃ。あそこもまだ空いてる。」
とりあえず東京の地面はもう、隙間がない。
だから、上に伸びるか下に掘るか、それしかもう手段がないそうだ。
海の埋め立てですら、既に船の航路をじゃましかねない状況になってるとか。
やあ、なんだそりゃ。
隙間という隙間を埋めて、で、どうなるんだ?東京。
東京がアジアで生き残るためには高層化しかない、とか森さんは仰られていたが。
うーん。
まあね。
民間ができるとしたら、それしかないのかね。
そういう意味での東京の最大のネックは、空港なんだろうが、森さんにはどうしようもないものね。
「もっともっと建たなきゃいけない。」
ヘリコプターでビルからビルへと移動しながら、森さんは言う。
そのうち、ビルとビルをつなげる必要があるとか。
「それが線になって面になっていくには、あと20年30年かかるんでしょうかね。」
「まあ、そんなもんでしょう。」
FFⅦかい。
きゃあアナタ、しんらかんぱにーデスカッ。
ビルとビルをつなげ、そこを線にし面にしたら、下の世界に日が差すことはない。
そこに貧民層が虫のように住み、一部の上流のデブと美人がプールの脇で日光浴をするなんて、どっかの何かで見たようなアレが思い浮かんでしまうせいだろう。
なんだか、嫌悪な感じを感じてしまうのは、私だけなのか。
しかし、そうならねばならない。
東京がアジアの地方都市にならないためには。
そうなのかもしれないが、何か本能の部分でそれを嫌がってる自分に気付くのである。
正直、怖い。
気味が悪い。
どうもその膨張する東京を、人間はコントロールしきれていないのではなかろうか。
高層マンションの47階に住む女の子が、家の外に広がる夜景を見ながら呟いていた。
確かに美しく、キラキラと光る夜景を見ながら。
「みんな、何かやってるんだなあ。」
って。
それを聞いて、少しほっとした。
その感覚を忘れなければ、大丈夫……なような気がして。