けいよい日記

キングオブ暇な私の、心の琴線

分け目の話。

 
 
 
 
みーんみんみんみーん
                             みーん、みんみん、みーん
 
 
 
 
まあ、世間一般に言われている蝉の鳴き声というのは、こうでしょうね。
 
 
 
サザエさんで聞こえてくる蝉の音だって「みーんみんみん」と表現されておりました。
アニメという媒体にもかかわらず、文字で。
 
 

 
 
ほかでもない、私もそう思っていましたよ。
 
 
 
 
でも、はて?と。
 
そう思ったのは、いつの頃だったか。
 
 
よくよく考えてみると、私の住んでいた山口県には、そんな蝉いないの。
 
「みーんみんみん」って鳴く蝉なんて、いないの。
 
 
 
    「シネシシネシ」 か。 
 
 
 
    「ジジジジジジ」 か。
 
 
 
 
まあ、クマゼミの方が声が大きいわ多いわで、前者の鳴き方が主でしたなあ。
 
 
 
小学生のとき、あまりにもよく鳴くクマゼミに対して、一度だけ本気で、
 
「五月蠅い!」 
 
と言ってみたことがありましたが、残念ながら何の効果もありませんでした。
それくらい、クマゼミ一色。
 
 
 
ま、「にーんにんにん」と鳴くのはいるんですよ、ニンニンゼミ。
 
しかし、彼らは実にマイノリティでねえ。
 
滅多にお目見えしないし、「にーんにんにん」と鳴くと先ほど申しましたが、実のところ実際に鳴いているところは見たことないような気が。
 
蝉なんて虫取り網で捕まえた後は「ジジジジッ(おいゴルァ)」という抗議しかしませんからね。
 
って、今調べましたところ、ゼミじゃなくて、ゼミなのね。
しかも、「にーんにんにん」なんて鳴かないのね、ナニソレ。
 
私、今の今まで間違ってたよ、ナニソレ。
 
 
 
 
とまあ、そんなこんなで?
 
 
「みーんみんみん」なんて、一度も聞いたことじゃいじゃないか、そういえば。
実は世の中には、「みーんみんみん」と鳴く蝉なんていないんじゃないの?と。
 
日本人は何となくニンニンゼミが好きで(ニイニイだけど)。
 
 
 
小さいし。
 

 
 
 
それで何となく蝉の鳴き声といえば「みーんみんみん」ってことになってるのだろうと。
 
 
 
 
ほら。
 
動物の鳴き声だって、考えてみりゃ適当じゃないですか。
 
 
ワンワン!   ほんとか?ほんとにワンワンか?
 
ニャンニャン   ほんとか。ほんとに略
 
クルックドゥードゥードゥ!   嘘つけぇっ
 
 
そんなもんじゃないですか。
 
 
その延長なんだろうと思ってたんですよ。
 
なんか面倒だし、いっそ、そういうことにしておこうと。
  
そういうことにしておいて、私は成人いたしました。
 
もう、かれこれ20年前です。
 
 

 
 
 
 
 
で、私は結婚を機に東京に住むようになりましたよ。
 
そのときが、初東日本です。
いや、もちろん何度か来たことはありましたが、がっつり住むのは初めてでね。
 
 
ある夏、私は横浜界隈をウロウロしておりました。
 
 
で、ちーと山がちなところを歩いていると、蝉が鳴いている。
 
 
うん、鳴いている。
 
 
夏だねえ、嫌だねえ、と。
うっすらと頭をよぎる違和感と共に、目的地に向かっておりました。
 
 
そして。
 
 
 
そのときがやってまいりました。
 

 
 
 
 
 
みーんみんみんみーん。 
 
 
うん、みーんみんみんみ……
 
 
ーん、みんみん、みーん。  ってば。
 
 
うんうん、みーんみんみ……。
 
 
 
 
 
ーんみ……おおおおおおおおおおおおおおおおお……
 
蝉が蝉が、ーんみんみんみーん」
                           と鳴いている………!!!!
 
 
 
 
いやもう、結構な衝撃でしたよ。
 
 
い、いるんじゃん、ミンミンゼミって、いるんじゃん。
 
 
帰宅後すぐさまネットで調べてみて、初めてミンミンゼミの見てくれを確認いたしました。
 
 
 

 
ほーぅ、羽が透明なのねえ。
見た目はクマゼミ系なのね、ミンミンちゃん。
で、体が緑なのね?
 
っていうか、蝉って、当たり前だけど、どこまでも虫よね……。
どうしようもなく、虫よね……ウップ
 
 
 
 
まあ、とにかく。
 
 
東日本には、ミンミンゼミがいた。 
 
 
私にとっては、結構、号外並みのカルチャーショックだったのであります。
 
 
それと同時に、山口ではあんなに掃いて捨てるほどいたクマゼミが、実は東日本では珍しいなんてことも知ったのであります。
 
あんなにいたクマゼミが。
木の表面に、魚の鱗みたいに、ぎっしりいたクマゼミが。
 
 

 
こんなもんじゃない。こんなもんじゃないんだ。
 
 
 
 
木にへばり付いてるアレを、腕でガーーッとやって、段ボールにダーーッて集めて。
それを佃煮にして。
そしてその佃煮を燃えるゴミに出したって、別に惜しいとも思わない、そんなクマゼミが。
 
 
ところ変わればマニア垂涎になるなんて。
 
 
 
 
世の中、わからんものです。
                                         
                                          「わたしのおいなりさん」 --つづく。
 
 
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