そこに、オアシスはあるのか
旦那が腕立て伏せを始めて、3日目。
何だか、大胸筋を鍛えたくなったようだ。
ま、私も、その辺りが「むっくり」しとった方がお好みなので、がんばっていただきたい。
(筋肉バカは嫌いよ)
が。
やる度に、変な雄叫びをあげるのは、どうなんだ。
「はいーーーっゃ、はぅっ、ほっ。」
あんた、ゴリラか。
まあ、相当きついようだ。
久しぶりだもんね。
ねぎらってやるべきところなのだろうが、私は意地悪なので、脇の話を振ってみたりする。
そんなことをしてると、例の臭いが余計にひどくなるんじゃないか、と。
すると旦那は、「ふーんだ。」という顔をして、くるりと背を向けてしまった。
そして何だか、ぶつぶつ言っている。
耳を澄ましてみると、こんな事を言っていた。
「分け入っても、分け入っても、臭い脇…。」
はっ!
いけないっ!
また、旦那を追いつめてしまったっ!
そこで止めとけばいいものの、つい面白かったので、さらに突っ込んでしまった。
それが私の私たる所以なのでぇ、いや、申し訳ない。
「そら、そうやろ。分け入っても、分け入っても、臭いに決まってるやん。脇なんやから。」
そう言いながら、旦那の脇を分け入り分け入りする自分をイメージしてしまい、ちょっと「うっぷ」となってしまった。
旦那は、右斜め45°辺りを、ぼんやり見つめながら、こう続ける。
「いや、でも、無いんかなあ。どこかに、臭わない場所が…。探せば…。」
「無いね。」
変な希望は、為にならない。
即座に否定しておいた。
そりゃ、脇毛が禿げたりすれば、可能性がないこともないかもしれんが。
その頃には、あなたの頭の毛は、問答無用に一本も無いんじゃなかろうか。
旦那よ。
幻のオアシスに思いを巡らすよりも、現実だ。
まずは、我々のボスから教えてもらった、クリーム状の何たらいう薬を探すのだ。
そうだ、楽園というものは探すものではない、創るものなのだ!
自分で、買いに行ってね。