けいよい日記

キングオブ暇な私の、心の琴線

その名前は、Yから始まる。




Yっさん。

これで名前を隠していることになるのだろうか。
まあ、いいや。


彼は我々夫婦の学生時代の友人で、あの熊野寮に…何年だっけ、とにかく相当な年数住んでいた強者である。



うちの旦那は、彼を酒で潰すのが、ことのほかお気に入りで。
さんざん飲まして潰したYっさん(意識レベルゼロ)の鼻をつまんで、口からウイスキーを流し込む。

そんな、下手したら犯罪になりそうなことまでしちゃう、大の仲良しだ。

……仲良しですよ?

我々の結婚式で司会をやってくれたのは、他でもない、Yっさんだ。




彼は酔っぱらうと、変な持論を口走る癖があった。

「非人間的なものと非人間的なものが合わさって
        人間的なものに……ハラホロヒレハレヘベレケヘベレケ

残念ながら、最後まで聞いたことはない。



そして、命の次に大切だといっていたのは、自転車。

確かに10万円はくだらないロードレーサーではあった。
だが、大学への行き帰り以外に使っているところなど、見たことがない。
ちなみに、彼が大学まで行く所要時間は5分。

あほぅである。  
貧乏なくせに。



まぁこうやって考えると、ろくでもないタイプに聞こえるかもしれないが、聴く音楽はクラッシックとヘビメタ。
特にクラッシックCDの数は尋常でなかった。 
貧乏なくせに。


しかも、一丁前なことを言いやがる。


カラヤンのCDが安売りしてたよと教えれば、「あ、俺、カラヤンあんま好きやないねん。」だの。

ショパンの雨だれの曲はショパンが病気をしてた時に…という話をすれば、「そういうの関係ないんちゃう?」だの。


Yっさんのくせに生意気だぞ。
(そう、彼の位置は野比のび太。だが我々のクラブの主将であった。)


私の心のひだに彼の行動が触れるたびに、旦那にゴーサインを出したり出さなかったり。


だが、しかし。

そんな蘊蓄にムッとしていたのも、彼がある意味正しいことを言っていたからなのかもしれない。


私はショパンが好きだった。
彼はモーツァルトを推していた。

私が、作曲した人間の、その時の感情や状況に興味を抱くのに対して。

彼は、そういうのを抜きにして、メロディーだけで評価するべきなんじゃないかと言ってきた。



だが私は、そのメロディーの裏にあるものも含めて、その曲は存在するのだと、今でも思う。

ただ、確かにエピソードは、あくまでエピソード。

その曲の本体である筈はない。

そのあたり、裏話に流されがちな私の性格を見抜かれていたような気がして、
あぁ今考えても腹が立つ。



よし、今度京都に帰ったらYっさんと飲もう。

そして潰そう、いつものように。





そんな、Yっさん。


最近、夫婦仲が冷え切って離婚寸前だとかいう風の噂が、びゅーびゅーと吹きすさんでいるんだが。



大丈夫かー。 
大丈夫なのかー。

ご利用まことにありがとうございます。