時は平成、世は平静か。
貧ぅしさに、ん負けたぁ~
いヒえ 世間んに……負けたぁ~
夕ぐれの~雨が~降ぅる~
矢切のォォ~ォォ~ォ~渡ァんしィ~~~
どーしても、こうなるのです。
私の頭の中では、どーしてもこう、つながってしまうのです。
間違いなのは分かっちゃいるんですけど、突き詰めるほどの話でもないので、ほったらかし。
山にススキを見に行ったんですがねぇ。
これがまた結構な山で。
いつもながら思いがけず、結構なことになりまして。
肺をひゅるひゅる言わせながら山登りをする羽目になりました。
けいよい、温室育ちなのにー、虚弱体質なのにー、そういえば虚弱体質って、何?
まあ、とにかくね、思ったんですがね。
人間、体力的にしんどい時って、妙に聴覚だけが冴えわたるような気がするんですよね。
黙々と歩を進める間、視界はどうしても足下だけになりがちで、
その分、耳で周りのことを見ているような、そんな感じ。
そんな私の耳に入ってきた、山での人々の会話、お聞きください。
『まだまだ登り始めだけれども、かなり勾配のきつい山道での、若いグループの会話』
「ねえねえ、バス50分だってー!」
ススキに阻まれ、のび太の顔、確認出来ず。
ちっ。
『山の中腹まできて幾らか坂の具合も落ち着いてきたが先は長い、そんな山道での父と息子の会話』
ちなみに父の体力は限界に来ているが、息子は小走り。
「ねえねえ、お父さん。」
「あん?(息荒し)」
「ゲロってさぁ、ゲロってさぁ、一回吐いたヤツをまた食えるん?ねぇ食えるん??」
二度聞くのは、やめてあげてくれないか、坊や。
お父さんも、しんどいの。
おばちゃんも、しんどい、の。
おばちゃんも、しんどい、の。
ね?
あと一歩で頂上、というところでの絶景ポイント。
『僕たちは頂上まで行くのイヤだから、みんなの荷物をココで見ておいてあげるよ的な男二人の会話』
「これだったら行けるわ、次は負けへん。」
「おっしゃ、じゃあ、俺はコレで…。」
その辺の草でウィッシュボーンをして遊ぶ、どう見ても30を過ぎた男二人。
なんとなく、指扇さんを思い出す。
『そして京都に戻り、疲れた身体を癒そうと和食を選んで夕げを楽しむ、ぬけ夫婦の会話』
ぬ 「いやぁ、しかし綺麗やったなぁ。」
け 「うんうん、思ってた以上に良かったよねぇ。」
ぬ 「おう、あの、時間と共に表情を変えていく風景がとても綺麗だっ…
け「ちょっと人生やり直してこいやニイチャン何デスカソノ嘘ッポイ台詞ハ。」
母さん、アナタをそんな子に育てた覚えありませんよ、許しませんよ認めませんよ!!
でもまぁ、嘘じゃあないんだけどね。
確かに、美しかったです。
時間と共に表情を変えていくススキ。
ちなみに、あの台詞を吐いてる旦那の表情は、いかにも戯言を言っているというニヤニヤしたものでした。
ええそうです、わかってやっているのです。
私の選んだ男は本物なのです。 ウフ。
…ってね、今、たった今、ぬーが起きてきたんですけどね。
顔が完全に三谷幸喜…。
困ってるときの三谷幸喜、どうしよう…。