鳩は平和の使者ですよ。
NHKでやってんですけどね。
丸1日どこかの街をぶらぶらして、その街の人達とふれあい、そして風を感じ……みたいな、
まあ、内容です。
私は結構好きで、やってたら、まず100%見るんですよ。
で、この間もやっていたのです。
場所は確か、パリのモンパルナス地区でした。
大きな駅があって、生粋のフランス人より移民が断然多くて、少し昔だと有名な芸術家がみーんなこの辺に住んでたのよ、というのが特徴になるんでしょうか、モンパルナス。
街歩き班は、そんなモンパルナスの、とあるおうちに首を突っ込みます。
そこにいたのが、このおじさん2人。
お茶をしながら談笑中です。
で、ここは良いところでねぇなんて話をしているうちに、左側のおじさんが、
こんなことを言い始めました。
「彼は王子様だからね。」
おや、ハンカチがご趣味で?
いやいや。
なんでも、この方は、旧モンテネグロ王国の王族で、お父様が王様だったそうで。
「父が、1918年に、こちらに亡命してきたんだよ。」
と、さらりと言っておられましたが、おそらく、ものすごくいろいろあったはず。
だって、1918年ってさ。
この素敵なロマンスグレーの髪の毛にも、いろんな歴史が……とか思いを馳せたりしていたのですが。
あるものに気付いた途端、すべてが吹っ飛びましたわよ。
お気付きになったでしょうか、皆さんは。
ほら。
右下の。
黄色のアレは。
空き缶が……?
こうなってくると、テーブルの上のお茶が煎茶に、
お菓子も最中とあんころ餅に見えてくるから不思議です。
なんで
という習慣までが、パリのモンパルナスの片隅に息づいておるのか、と。
いや、もちろん、何も入ってないかもしれませんよ。
でも、置いてある場所からして、もう鳩サブレーそのものは入ってないんではないかと思うのですよ。
縦に置いてあるし。
で、ほんとの空き缶なら、……いくら日本のものが珍しいからって、取っとかないでしょうよ。
私が思うに。
孫からの手紙 あたりが入ってるんじゃなかろうか、と。
そして、こうも思うのですよ。
通帳は、やめておいたほうがいいですよ、王子。
それは、引き出しに入れておいた方がいいですよ、うむ。
それは、引き出しに入れておいた方がいいですよ、うむ。
家電の取説なんかいいですね。
でも、サイズが入ったり入らなかったりするんですよねー。
で、イラッとしたりねー。
取説の角っこが、こう、こう曲がって、んんあぅっ……! って
……。
1918年、ユーゴスラビアができるにあたって、合併というかたちで、その存在は消えた……んでしょうけど、王族の人達にしてみれば、何なのよ一体、っていう出来事だったのではなかろうかと。
で、今は元に戻っている。
本当に、いろいろあった上で。
って、わー、このおじさん。
ウィキペディアに、ちゃーんと載ってますよ。
そうですよ、あなたですよ、私は昨日、テレビであなたを見ましたですよ。
ニコラさんっていう名前なのですね。
というか、ニコラⅡ世さんなのですね。
像もあるそうです、に、似てないですね。
モンテネグロの国旗は、これ。
そういえば、ニコラさんのおうちにも、玄関入ってすぐのところに掲げてありましたよ、この旗。
街歩き班は、どスルーしてたけど。
ところでニコラさん、今はパリでなく、モンテネグロに住んでらっしゃるみたいですよ、
ウィキペディアによると。
去年のことだったようです。
もう、ここには住んでないんだねえ……。
あのおチビさんは、寂しがってんのかな。
下のおじさんの犬っぽかったからな。
下のおじさんの犬っぽかったからな。
まあ、とにかく、ニコラさんが幸せでありますように。
ニコラさんが幸せなら、この辺り一帯は、もう大丈夫ってことになるだろうから。
ねえ、鳩三郎や。
にしても。
やるな、NHK。